
ヤモリは縁起がいいと言われているのを聞いたことはありませんか?
家の壁をぺたぺたと這っている姿がなんとも愛嬌のあるヤモリです。
女性の場合は爬虫類が苦手という方もいるかもしれません。
しかし私は、祖母から「ヤモリは縁起がいいものだ」と言われて育ったので家の壁を這うところを見ても、家を守ってくれているんだなと思って過ごしていました。
それでは、なぜヤモリは縁起がいいと言われるようになったのでしょうか?
ヤモリの生態と合わせて一緒に見ていきましょう。
ヤモリの出る家は縁起がいいの?
ヤモリの出る家は縁起がいいと広く言われていますが、その由来に関しては大きく分けて2つのエピソードがあります。
まず、ヤモリは肉食の生きもので害虫を食べてくれるので、家を守るという意味から縁起物とされている話。
ヤモリはゴキブリやハエ、シロアリなどを食べてくれます。
特にシロアリは家の柱などを齧り壊してしまう嫌な虫なので、それを駆除してくれる生きものであることが通じて家を守るありがたい生きものと言われています。
次に、ヤモリと金持ちが結びついて豊かな家の象徴になったという話です。
一見して関連性がなさそうですよね。
ヤモリは夜行性の生きもので、前述したとおり虫を食べます。
夜に灯りがついている場所には虫が寄ってきますよね?
ヤモリはそれを狙って出没します。
今では夜の家に灯りがついているのは当たり前ですが、江戸時代や明治時代は違います。
昔は灯りが貴重で、夜に灯りがついている家はお金持ちの家と相場が決まっていました。
お金持ちの家にヤモリが出没することから、ヤモリに豊かな家の印象がついたと言われています。
また、白いヤモリは特に縁起がいいと言われており、夢に出てくると近いうちにお金関連でいいことがあると言われるほどです。
古来から日本では白い生きものを神聖視する風習があり、白蛇は神様の使いであるという言い伝えがあります。
白いヤモリも白蛇と同じく、神聖視する風習があり、家の灯りのエピソードなどの良いイメージからお金に結びついているようです。
ヤモリを漢字で書くとこうなる
ヤモリを漢字で書くと2つの候補が出てきます。
それぞれ見ていきましょう。
家守
読んで字のごとく家を守るで「ヤモリ」です。
家を守ってくれる役職の人を古くは「家守」と読んでいました。
ヤモリがシロアリやゴキブリなどの住居で人間を困らせる害虫を食べてくれる性質から、動物のヤモリに対しても家を守ってくれる番人という意味合いでこの文字を当てます。
守宮
一見して「ヤモリ」とは読めませんよね。
漢字ひとつひとつの意味から「家守」と同じ意味合いに思われがちですが、実は由来は全く異なります。
守宮という漢字を当てる由来は中国の故事からです。
古来中国では朱砂(水銀)を食べさせて身体が赤くなったヤモリの粉を女性の身体に塗ると、一生その色が取れなくなると信じられていました。
ところがこの粉、男性と交わるとその色が落ちると言われています。
この性質から漢の武帝は女官にこの粉を塗り、貞操を守らせていたのです。
「守宮」はこの故事から来ています。
宮とは「家屋」のことではなく「後宮」のことなんですね。
詳しくは南方熊楠(みなかたくまぐす)という生物学者が「守宮もて女の貞を試む」という考察文を残しているので、興味がある方はぜひ参考にしてください。
ヤモリはいつ出てくるの?
ヤモリの活動時期は地域にもよりますが、大体4月から11月と言われています。
ヤモリは爬虫類。
変温動物なので、冬になると体温が下がり活動できなくなってしまうため家の軒などで冬眠します。
暖かくなる春先に活動しはじめ、5月から9月の間に繁殖。
たまごは1ヶ月ほどで孵化します。
ヤモリはその名の通り家の軒下や戸袋などに住み着きますので、身近な生きものという印象も強いですよね。
ぜひ飼ってみたい!という方もなかには居ると思います。
それではヤモリはどのように飼えば良いのでしょうか?
ヤモリを育てたい!飼い方はどうするの
ヤモリは家で飼育する生きものの中では比較的環境を整えやすい生きものです。
また、臆病な生きものなので人間を噛むこともまれで、噛んだとしても人間ではなくヤモリがケガをしてしまうほど弱い生きものなので危険はありません。
ヤモリには毒がないのでそういう意味でも安全ですね。
それでは飼育のポイントを見ていきましょう。
飼育環境
ヤモリを飼うには昆虫飼育用のプラケースなどを用意すれば大丈夫です。
水槽でも飼えますが、ヤモリは足先に吸盤のような機能がついていて、どんなつるつるな壁でも登って移動してしまいます。
脱走防止のために蓋がしっかりと閉まるものを用意してください。
床材(土など)はなくても飼育できますが、衛生管理の観点から床にはキッチンペーパーなどを敷くのが望ましいです。
床材の代わりに用意するべきはシェルター。
土を敷いても敷かなくてもヤモリが隠れられるような場所を必ず作るようにしてください。
ヤモリは夜行性なので、日中は物陰に隠れて過ごします。
隠れられるものであればなんでも構いませんが、思いつかない場合は爬虫類用のシェルターを専門店などで買い求めてください。
シェルターと同じく、必ず用意してほしいのがペットヒーター。
ヤモリの寿命は意外と長く、10年前後は元気に生きることができます。
しかし、ヤモリは変温動物で気温が下がると冬眠してしまう生きもの。
冬眠自体は悪くないのですが、餌をたくさん食べたり環境を整えたり、冬眠の準備をしっかりとして冬眠させないと体力が保たず、冬を越せずにそのまま死んでしまいます。
家で飼育する場合は冬眠に合わせて準備させるよりも冬眠させないほうがいいですよ。
冬場には必ずペットヒーターを導入して、ケースの室温が25℃前後になるよう維持して冬眠状態に入らないよう気をつけてください。
餌と水
ヤモリは生きた餌しか食べない習性を持っています。
ですから必ず生きた餌を用意する必要があります。
具体的には、ペットショップで餌用に販売されているコオロギなどを用意して与えてください。
ただし、ヤモリは体が小さく、体長は10センチから14センチのものが主流。
大きすぎる餌を与えると体で詰まらせてしまい最悪の場合死んでしまいます。
餌としてはヤモリの頭よりもやや小さい虫を選んで与えるようにしましょう。
ヤモリにも人間と同じく個体差(性格)があり、水の飲み方に特徴があります。
飼育する場合真っ先に水飲み場を設置することを考えると思いますが、ヤモリの中には水飲み場から水を飲まない個体がいます。
水飲み場で水を飲まないヤモリはケースについた水滴を舐めて水分を摂取します。
水飲み場から水を飲まない場合は放っておくとそのまま衰弱してしまうので、水飲み場を撤去して、霧吹きで時々飼育ケースの中を濡らすようにしてください。
飼う場合餌と水に気をつけていれば比較的飼いやすい生きものでもあります。
ヤモリはクモと同じく家の害虫を駆除してくれる存在ですから、縁起担ぎの面でも実際の生態としてもありがたいことだらけです。
お互いの生活を尊重して上手に共存していきたいですね。