
雪の吹き溜まりの意味、ご存知ですか?
北日本の豪雪地方でなければ、あまり馴染みのない言葉ではないでしょうか。
冬場の東北地方や北海道はまさに別世界。
雪の降らない日のほうが少ないという地域ですが、住んだことがなければ毎日雪が新しく積もる地域は不安ですよね。
引っ越してはじめての真冬となれば、どんなことに注意して生活すれば良いのか、なにを準備すればいいのかなど、わからないことが多くて心配だと思います。
私もはじめて北海道で冬を迎えた時、息もできないほどの吹雪に驚きと命の危険を真剣に考えました。
それでは今回は、そもそも雪の吹き溜まりとはなんなのか、どんなことに注意すればいいのかなどを私の実体験も踏まえてご紹介します。
目次
雪の吹きだまりってどういう意味
「雪の吹き溜まり」とは、風によって運ばれた雪が風の弱くなる場所や風向きが変わる場所に集まって積雪する現象のことを言います。
吹き溜まりができやすいのは東北や北海道などの、積雪する地域でもさらに気温の低い地域。
気温が低いと雪は水分が少なくなり、細かく軽くなります。
軽い雪は風に乗りやすくなります。
すると風の影響を受けやすくなるので、風が弱くなったり風が消えてしまう場所に雪が運ばれて溜まっていくのです。
降っている雪はもちろん風の影響を受けますが、北海道などで降る軽い雪は、地面に積もってしまってからも風に巻き上げられて運ばれていきます。
地面に積もっても気温が低く溶けないため、吹雪など強い風の吹く天気の日には既に積もっている雪も風に舞い上げられて運ばれていくのです。
雪に馴染みのない方でも、秋頃、落ち葉が風に乗って舞うところを見たことはあるのではないでしょうか。
落ち葉も風が弱くなる場所にたくさん溜まっていきますよね。
同じことが雪でも起こると考えてください。
それでは、吹き溜まりができやすい場所はどこなのでしょうか?
吹き溜まりはどこにできやすいの?
吹き溜まりができるのは「風が弱くなる場所」です。
風が弱くなる場所は、簡単に言うと障害物と障害物の隙間。
建物の近くや雪堤のできた道路などです。
雪堤とは除雪の際にできた雪の壁のこと。
北海道の道路は直線が多く幅が広く取られていますが、冬にはその直線の道路に沿って高さ1mから1.5mの雪の壁がそびえ立っています。
関東地方や西日本ではなかなか見ることが出来ないその光景は壮観です。
雪堤は積もった細かい雪が除雪でさらに固められているので頑丈な上、北海道の峠道では3月中旬くらいまではそのまま残っています。
そのため、風が吹き込んでも雪堤で止められ、道路の地上1mくらいまでのところで風が弱まり、道路でも吹き溜まりができる原因となっているのです。
珍しいだけならば良いのですが、実は怖い側面も持っているのがこの「吹き溜まり」。
吹き溜まりをただの雪国特有の現象だと思っていたら、命もおびやかすような危険を見逃してしまうかもしれません。
命を守るためにも、旅行や引っ越しで北国に向かう前に吹き溜まりについてきちんと知っておきましょう。
雪の吹きだまりの注意点2つ
北海道などでは吹雪は日常茶飯事。
吹雪が起こると必ずと言っていいほど吹き溜まりは発生します。
吹雪はもちろんのこと、吹き溜まりは命の危険につながる恐ろしい自然現象です。
ここでは大きく2つに分けてその危ない側面と対策についてご紹介します。
道路にできる吹き溜まりは一酸化炭素中毒を引き起こす原因になる
豪雪地方では吹雪による吹き溜まりで走行中の車が立ち往生することがままあります。
この際、吹き溜まりに巻き込まれて車が進めなくなってしまうと、周りにどんどん雪が積もっていきますよね。
雪は乾いていても水分を含み、積もると通気性が失われてしまいます。
すると車のマフラーを塞いでしまい、車の排気ガスが車内に逆流します。
一酸化炭素中毒を起こして最悪の場合死亡事故に繋がります。
車が吹き溜まりの中立ち往生してしまった場合の対策としては、速やかにエンジンを切ることが最良です。
とは言えエンジンを切ってしまうと暖房が入っていないので寒いですよね。
なので、車内には事前に
・防寒着
・スコップ
などをあらかじめ積んで外出しましょう。
不測の事態に備えることが最も重要です。
吹雪や地吹雪が起こっている日は外に出ないのが最も賢明ですが、もしも外出中に吹雪に巻き込まれた場合、無理に自宅に帰ろうとはせずに近くのコンビニやガソリンスタンドに車を止めて吹雪が止むのを待つようにしてください。
また、吹雪が弱まってきたらエンジンをかけて暖を取りたくなると思います。
その際は
・少しでも構わないので必ず窓を開ける
・エンジンをかける前にマフラーの周りの除雪を行う
などして一酸化炭素中毒にならないように準備してからエンジンをかけるようにしてください。
実際毎年北海道では吹雪の際車内で一酸化炭素中毒を起こし死亡する事故が起こっています。
建物近くの吹き溜まりは暖房器具故障の原因となる場合がある
建物と建物の隙間は吹き溜まりになりやすく、あっという間に雪が積もってしまいます。
豪雪地方だと電気ストーブでは暖を取り切れないので石油ストーブを使う家庭が多いのですが、この石油ストーブは外に排気口が取り付けられる場合が多いです。
私自身北海道で生活している際よく見舞われたのですが、吹雪の日にストーブを使っていると排気口が雪に塞がれてしまい、ストーブが止まってしまうことがあります。
この対策としては、埋まってしまう前に除雪を行うことが重要になります。
とは言え吹雪の中外に出るのは非常に危険。
地吹雪がひどい時は外に出た瞬間呼吸が出来なくなります。
あまりにもひどいと判断した場合はヒーターの使用を中断して電気毛布や羽毛布団を被るなどできる限りの防寒対策をして吹雪が収まるのを待ち、除雪をするようにしてください。
吹き溜まり以外の雪に関する用語とは
積雪地方に住んでいると雪に関する言葉は度々きくことになると思いますが、吹き溜まりの他にはどんな言葉があるのか、代表的なものを3つ紹介します。
ホワイトアウト
ホワイトアウトとは雪や雲などにより視界一面が真っ白になってしまい、方向や地形などが識別不可能になってしまう現象のことです。
さきほどから度々でてくる地吹雪や吹雪によるものが多く、ホワイトアウトの状態では1m先も視認できないので車の運転はおろか歩行することも難しくなります。
アイスバーン
積もった雪の上を車や人が何度も通り踏み固めたことで凍結した路面のことです。
前日に雨が降ったり日中気温が上昇して路面が溶けた場合などはその水が凍り雪の上にさらに氷が層になります。
スタッドレスタイヤをはいた車でも滑ることが珍しくない路面状況なので、慎重に運転する必要があります。
車を運転する場合は急ハンドルや急ブレーキはかけないこと、車間距離を十分確保することを心がけるようにしてください。
風花
晴れた日に花びらが舞うようにちらつく雪のことです。
高い山の風下のほうに山越えの風に乗って雪欠片が舞う現象のことです。
乾いた雪が降る東北や北海道だけではなく、群馬県などでも観測することができる気象です。
雪国に住んで一年二年と月日が流れるうちに、雪の現象や寒さにすっかり慣れてしまい、段々と鈍感になっていくと思います。
しかし、雪は命も簡単に奪ってしまうような怖い気象現象でもあります。
慣れてきたからと言って決して油断しないでください。
私の友達のアドバイスですが、もし車の走行中に滑ってしまった時一番安全に止まる方法は近くの雪山に飛び込むことだそうです。
本州に住んでいたら車が突っ込んでも平気なほど高く広い雪山というのはそうそうお目にかかるものではないので驚いてしまいましたが、実際友人の何人かはその方法で事故にならずに済んでいます。
とにかく防寒具と除雪のためのスコップを事前に家や車に準備しておくこと。
こまめに除雪を行うこと。
吹雪の日はなるべく動かないこと。
きちんと準備と心構えができていれば雪国はあったかくて楽しい場所です。
雪害に備えて寒い冬を乗り越えましょう。