
乾雪と湿雪の違いって知っていますか?
漢字のとおり、乾いた雪と湿った雪のことですが、雪が「乾いている」「湿っている」ってなかなか雪に慣れている人でないとイメージできないですよね。
東京でいきなり雪に見舞われてしまうと、天気予報を見てもどんなことに気をつければいいのかわからないと思います。
私も北海道で長く住んでいたのですが、その前は日本海側の雪の多い地域で育っていたので、雪質が全然違って初めての年は随分戸惑ったことを覚えています。
引っ越した当初は車を購入するつもりでしたが、冬場の路面があまりにも滑りやすく、不便さと車の危険をはかりにかけて車に乗ることを諦めました。
それでは、例えば乾雪と湿雪はどちらが積もりやすいのでしょうか?
今回は、乾雪と湿雪どちらも経験済みの私から、実体験も踏まえてその違いや気をつけるポイントをご紹介します。
目次
乾雪と湿雪積もりやすいのはこちら
乾雪と湿雪で積もりやすいのは乾雪。
「乾いている」と「湿っている」の根本的な違いは、雪の中に含まれている水分です。
乾いている雪はその文字の通り水分が少ないので、積もっても吹くと飛んでしまうくらい軽く、大半は粉雪です。
対して湿雪は水分を含んでいるのでしっとりと重たい雪です。
飛んでしまうのであれば乾雪のほうが積もりにくいのでは?と想像してしまいがちですが、乾雪と湿雪は水分の他にももうひとつ大きな違いがあります。
それは気温です。
気温が氷点下になると雪の中の水分が少なくなり乾雪になります。
これはどういうことかというと、乾雪は湿雪に比べて溶けにくいということになります。
湿雪は0度や1度くらいのあたたかな気温でも降るのに比べて、乾雪は気温がマイナスの地域で降る雪です。
冬の室内でアイスを放置していると溶けてしまうのに比べて、冷凍庫にあるアイスは溶けません。
同じようにプラス気温を前後する地域に降る湿雪は日中に溶けてしまうことが多く、水となってその場に残らないので深夜に凍る心配はあるものの、乾雪に比べると雪として残りにくいです。
乾雪はマイナス気温を前後する地域に降るので雪の状態でいつまでも地表に残ります。
降る度にどんどん積もっていってしまうので、こちらのほうがより積もりやすい環境になるのです。
乾雪も湿雪もたくさん降ったら積もります。
積もったらやはりそれなりに気をつけなければいけないことが増えてきますよね。
それではどんなことが心配になってくるのか、比較しながら見ていきましょう。
道路で乾雪と湿雪積もった時どっちが厄介?
道路に雪が積もった時、厄介なことは大きく分けて2つあります。
・風が強い時
・上から踏み固められている時
風が強い時は乾雪が積もった場所が厄介。
上から踏み固められている時は、経過時間にもよりますが湿雪のほうが厄介です。
どんなところが怖いのか、それぞれ見ていきましょう。
風が強い時
雪が降っている時に風が強いと視界を奪われて危険なことは想像できるかと思いますが、乾雪が積もっている時は雪が降っていなくても視界を奪われてとても危険です。
地吹雪という現象が起こるからです。
地吹雪とは既に積もった雪が強風で巻き上げられ、吹雪になる現象のことを言います。
乾雪は水分が少ないため、軽くて細かく、風に乗りやすいです。
そのため、仮に湿雪であれば風に飛ばないような長時間経過した積雪でも、上から固められでもしない限り乾雪はいくらでも舞い上がってしまいます。
湿雪が降る地域であれば雪が降っているときだけ視界を気をつければいいところを、乾雪は積もってしまったあとでも気にしなければなりません。
上から踏み固められている時
上から踏み固められると雪は大きな氷の塊になってしまいます。
寒い期間が長く続くとそれだけ雪は降り積もるので、除雪されていない限りどちらも凍って危険ですが、たった一日でも大雪になってしまうだけで重く固くなるのが湿雪。
乾雪は積もりやすいものの風にも飛ばされやすいため、時間経過が少なければ風で道路脇に溜まったり、車が通るときの風で少なくなったりもします。
湿雪は滅多なことでは風には乗りません。
水分を多く含んでいるため塊になりやすく、一晩雪が積もるとどんどん踏み固められ、仮に柔らかかったとしても車や人の重みでずっしりと押しつぶされ、タイヤがから滑りしたり、足が抜けなくなったりする原因になります。
私も小さい頃から大雪にはしゃいで庭に出ると足が抜けず、母に助けてもらうということがよくありました。
足元が悪くなりやすいのは乾雪よりも湿雪と言えますね。
それでは、積雪があった時、車の運転ではどんなことに気をつければいいのでしょうか?
乾雪と湿雪車の運転で気をつけることは
乾雪と湿雪ではそれぞれ気をつけることが微妙に異なります。
乾雪の時気をつけなければならないポイントは2つ。
・地吹雪で視界が悪くなる
・既に固まった雪の上に積もった雪は滑る原因になる
湿雪の時気をつけなければならないポイントも2つあります。
・轍(わだち)にタイヤを取られない
・運転中に降ってくる雪のかたまりに動じない
それではそれぞれ詳しく説明します。
地吹雪で視界が悪くなる
乾雪は風に巻き上げられやすいので、風が強い日は地吹雪が起こります。
できれば雪の降っていない日でも風が強い日は運転を避けた方が賢明です。
地吹雪は本当に前も後ろも真っ白になり、ホワイトアウトという状態に陥ります。
この状態に陥ると対向車も前方車両も、標識や信号さえも見えません。
霧の中の運転が困難なことは想像がつくと思いますが、それよりも更に視界が悪くなると思ってください。
急な地吹雪に巻き込まれた時や、どうしても車で外出しなければならない場合は、衝突を避けるために、ヘッドライトを点灯させた上にハザードランプも点灯し、周りの車両に存在を知らせながらゆっくりと走行するようにしてください。
既に固まった雪の上に積もった雪は滑る原因になる
数日雪が降り積もったり、前日に雨が降った場合、積もった雪は除雪されなければ車に踏み固められて氷の状態になっています。
乾雪は飛ばされることも多いですがそれでも積もると氷のかたまりになります。
雨が降れば道路はスケートリンクです。
ただ積もって固まっただけでも非常に危険なのですが、更に危険なのはこの氷になった路面に更に乾雪が積もった場合。
これがただの氷よりも更に滑りやすくなります。
どのくらいかというと、歩いていてもスパイクなしでは坂が上れないくらいつるつる滑ります。
もう本当にどうしようも無いくらい危ないです。
この場合は冬用タイヤを必ずつけて、スピードを落として運転することは大前提。
カーブや坂道でも絶対にブレーキを踏まないで、自然に止まるようにしてください。
轍(わだち)にタイヤを取られない
轍(わだち)とは広くは車のタイヤが通ったあとのことを言いますが、今回の場合は積もった雪の上を何度も何度も車が通って出来た2本のタイヤ跡のことを言います。
当然のことですが、車は左タイヤと右タイヤの間は少し浮いていますよね。
なので、車線の中央に踏み固められなかった雪が山のようになって残ります。
これがとても厄介です。
軽自動車などは車高が低くタイヤ同士の幅が狭いため、普通車やバスが通ったあとの轍(わだち)をなぞることが出来ずに中央の固い雪にタイヤを乗り上げてしまいスリップを起こすことがあります。
また、車の腹を真ん中の雪で擦ってしまい車が浮いたり、損傷から故障の原因になったりもします。
轍(わだち)の出来ている道路は轍(わだち)をなぞるのが基本。
車両の問題でなぞれない場合、スピードが出ているとコントロールがきかずにひっくり返ったりするので、スピードは落として走行してください。
また、車を選ぶときには必ず4WDを選びましょう。
前輪や右半分が浮いてしまっても他の車輪でなんとかできる場合があるからです。
ちなみに私は雪道で轍(わだち)にハンドルを取られて車体がひっくり返ったことがあります。
本当に轍(わだち)はただの雪の跡だと思うと痛い目を見るので気をつけてくださいね。
運転中に降ってくる雪のかたまりに動じない
雪が降ると対向車の上に車がずっしりと乗っている時がありますよね?
湿雪は乾雪に比べて重いので、対向車線の車から雪が落ちてきて事故につながるケースがあります。
また、山道などでは山の側面に生えた木に積もった雪が不意にフロントガラスに降ってくることもあります。
不意のことですし、結構大きな音を立てて落ちてきますが、フロントガラスにヒビが入るほどの氷のかたまりでないかぎりはワイパーですぐに取り払うことができます。
知らずに落とされると本当にびっくりするので、そういうこともあるということを心構えとして覚えておくようにしましょう。
みぞれやひょうなど、どっちにわけられるの?
みぞれは湿雪、ひょうはどちらにも分類されません。
みぞれ
みぞれは気象観測の分類では雪に分類されます。
乾雪と湿雪の違いとしては気温差が挙げられます。
0℃以上で湿雪、マイナスになると乾雪が降ります。
みぞれは地上の気温が0℃以上の時観測される雨まじりの雪のことを指しますので、みぞれは湿雪に分類されます。
ひょう
ひょうは上昇気流を持つ積乱雲の中で発生する氷粒のことで、発生時期は積乱雲の多い夏に見られます。
日本では5月から6月に観測されることが多く、気流が氷粒の重さを支えきれなくなった時にまれに地上に落下してくるもので、雪とは構造が異なります。
気象観測の分類でも雪には分類されませんので、どちらとも言えません。
乾雪と湿雪の違いにフォーカスを当てながら雪の日の道路で気をつけなければいけないことを見てきましたが、違いをわかっていただけたでしょうか。
どちらも車を運転する上では危ないという点において大差はないので、どちらがより危険、という判断は難しいです。
ただ、乾雪は風に飛ばされやすいことと湿雪はかたまりやすいという性質がわかっていれば、なんとなく気をつけることのイメージも付きやすいかなと思います。
一番わかりやすいのは湿雪は雪だるまが作りやすい、乾雪は作りにくいという判断基準。
どちらも遊ぶ分には楽しいものですよね。
雪の道路はゆっくり安全運転が基本。
慎重に、安全に、雪を楽しんでくださいね。