お節の具材の意味は?知らないコト

お節料理には、それぞれ縁起物としての由来や意味があるのをご存知ですか。
ひとつひとつの料理に、一家の繁栄や、長寿の願いがこめられています。

お飾りなどお正月の風習とともに、子どもたちにも伝えていきたい日本の伝統のひとつです。

最近は重箱に詰められた豪華な冷凍のお節料理も多く出回るようになりました。

忙しい現代の生活では、市販のものを利用するのも賢い選択といえます。
でも、昔から受け継がれているお節料理にこめられた意味を知って、そのうちのひとつでもふたつでも、自分で用意できるといいですよね。

ここでは、まず代表的なお節料理にこめられた願いをみていきましょう。

それから、時間がなくてもお節料理を自分で用意したいときにどうしたらいいかを少し考えてみましょう。

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お節料理の一つ一つの意味は?

お節の料理には、ひとつひとつがその年の一家の幸福を願う縁起物で、それぞれ意味がこめられています。
そして、めでたさを重ねるという意味から、重箱に詰められます。

基本は四段重ねですが、ここでは一般的な三段の重箱の順に、代表的な料理の意味をみていきましょう。
重箱は上から、一の重、二の重、三の重、と呼びます。

 

一の重

一の重には、祝い肴(いわいざかな)や口取りを詰めます。

「口取り」は、酒の肴にもなる「栗きんとん」などの甘めの料理のことです。

【数の子】ニシンの卵は数が多いことから、子孫繁栄を願う縁起ものです。
ニシンを二親と書いて、両親の健康を願うという意味もあります。

【黒豆】まめまめしく、勤勉にすごせるようにとの願いが込められています。
    黒は、邪気を払って不老長寿をもたらしてくれる色です。
【田作り】肥料として使われたカタクチイワシは、五穀豊穣を願います。

【たたきごぼう】家の土台がしっかりするように、まっすぐ根付くごぼうを使います。

【昆布巻き】昆布は「よろこぶ」にかけた縁起物です。

【かまぼこ】日の出を表すもので、元旦には欠かせません。

【伊達巻】文化を象徴する“巻物”にみたてています。

【栗きんとん】色も金色の“きんとん”は「金団」と書き、豊かな生活を願います。
       栗は“勝ち栗”といって、やはり縁起ものです。

 

二の重

海の幸が中心の焼き物と酢の物

【えび】長いひげと曲がった姿から、腰が曲がるまでの長寿を願っています。

【ぶり】名を変えながら成長していく出世魚です。

【たい】「めでたい」と語呂をあわせた縁起物です。

【紅白なます】赤は祝い事を、白は清浄を表します。

 

三の重

山の幸が中心のお煮しめ

【さといも】子芋がたくさんつくので、子孫繁栄を願います。

【れんこん】穴があいている様子から、見通しがよいことを表します。

【ごぼう】深く根をはることから、お家の安定を願います。

【くわい】大きな芽が出て、「めでたい」縁起物です。

【たけのこ】成長が早く、天に向かって真っすぐに伸びることから、子どもの健やかな成長や出世への願いをこめます。

【しいたけ】亀にみたてて、長寿を願います。

【にんじん】おめでたい「梅」の花の形に切ります。

【こんにゃく】手綱(たづな)こんにゃくにして、「心を引き締める」という意味を持たせます。
手綱結びの結び目から「縁結び」の意味もあります。

 

与の重

四の重がある場合、「四」の字は使わず「与の重」といいます。
酢の物やあえ物を詰めます。

 

お節のエビは背を伸ばす、丸める?どっち

お節料理の海老は長寿祈願なので、背を「」の字に曲げて料理します。

腰が曲がるまで長生きしたいという願いをこめているのです。

また、海老は脱皮しながら成長するので、出世を願う意味もあります。

調理すると鮮やかな色になるので、魔除けの意味もこめられます。

海老にはいろいろな種類がありますが、お節には車エビがよく使われます。
お節に入れる海老は、うま煮の他に、塩焼きや塩ゆでなど様々な料理法があります。

殻付き有頭海老の料理は難しそうなイメージがありますが、やってみると意外に簡単です。
エビフライなどに比べたらとても簡単なので是非挑戦してみましょう。

 

地方によってお節の中身は変わる

「祝い肴、口取り、焼き物、酢の物、煮物」という基本的な構成は大体同じですが、地方や家によってお節料理は様々です。

北海道の鮭を使った「氷頭(ひず)なます」、島根の「赤貝の煮物」など、その地方の特産物を使った郷土料理がお節の一品になることが多いようです。

お節料理の中でもっとも重要なものは、「数の子」「黒豆」「田作り」の三種類で、これは「祝い肴三種」あるいは「三つ肴」といいます。
関西では、「数の子」「黒豆」「たたきごぼう」が「三つ肴」になります。

「黒豆」は、関東では艶やかにに上げますが、関西ではしわしわになるように煮ます。

「田作り」は地方によっては「ごまめ」といいます。
片口いわしを肥料にして五万俵もの豊作になったことから、「五万米」で「ごまめ」となりました。

このように、地方によって中身もいろいろですし、定番のものも、料理の仕方が少し変わったり名前が変わったりするのですね。

 

お節を作るのに最低限の食材は?簡単お節の作り方

家族の人数が少なかったり、あるいは時間の都合などで、簡単にお節料理を作りたい場合も多いでしょう。
そんなときは、数品だけ用意して、お重に詰めずに平盛りをしたらどうでしょうか。

「数の子」「黒豆」「田作り」または「たたきごぼう」の、「三つ肴」だけは是非そろえたいところです。
数の子は手間も時間もかかるので、出来上がったものを買ってもよいと思います。
ほかのものも少量ならば、出来合いのものを買って済ませた方が、経済的でもあります。

 


小鉢に入れて、鉢ごと大きなお皿や小さめの朱塗りのお盆に盛りつけるときっと楽しいでしょう。
お庭に南天の枝や松の葉があれば、料理の脇に飾ってみてもいいと思います。

料理が三つ肴だけでは物足りないと思われるなら、是非海老を煮てください。
形を整えて煮るだけなのでほとんど時間がかからないし、それだけで途端に豪華になります。

お煮しめも、全部材料をそろえて支度すると大変ですが、里芋だけとか、れんこんだけ、とかお好きなものだけ煮るという方法もあります。

師走のスーパーでは、お節用にいろいろな料理が並びますので、市販のものだけで重箱を詰めることもできます。
重箱へは、お弁当用のカップなどを利用すると時間をかけずに詰めることができます。

 


 

 

お節料理は、お正月の祝い膳であると同時に神様へお供えするものでもあります。
また、実際には無理ですが、三が日の間、主婦が台所に立たなくても良いように準備するもの、とも言われます。
日本の伝統として子どもたちにも伝えていきたい文化ですので、料理の由来や意味、重箱への詰め方などは、知っておきたいですね。

お節料理の準備は、全て手作りで、と思うと大変なものです。

手作りは余裕がある分だけにして、市販のものを利用するのもひとつの方法です。

お正月にはゆったりとし気持ちで、家族でお節を囲み、伝統を子どもたちに伝えていきたいものです。

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